設計段階の小さな喜び

建築家にとってこの上ない喜びはお施主様が設計した建物を気に入ってくれて長く大切に使っていただくことですが、設計段階でも小さな喜びが散りばめられています。弊社ではいろいろなスケッチを打ち合わせでお見せします。現在工事中のK邸では「風通しのいい家」をテーマに進めているため、既存の壁を取っぱらい、高さ1.8mの家具で機能を区切って上はスカスカにしています。そのコンセプトの要となる家具のイメージをより具体的に想像していただくため、このようなスケッチを描いてお見せするのが通常ですが、その時、お施主様が驚いたり喜んだりしていらっしゃる姿を見るのが私の設計段階のプチ喜びになっています。そしてお施主様にとってもこの様なスケッチがプチ喜びになっているといいなと思っています。スケッチの多くは採用されないのですが、それでもこのプロセスを大事にしていきたいです。

 

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コンピューターなどの技術が進み、模型を作ったり、手描きでパース図や詳細図を描くのは時代遅れなのでは?とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。アメリカの事務所ではBIM(building information model)は当たり前で導入すべきはVRでのプレゼンでしょ!ということころまで進んでいます。私もBIMプロジェクトはアメリカで10年以上前に経験ずみです。ただし、プレゼンに関してはプロジェクトの種類や規模によって方法を変えるのが一番いいのではと考えています。弊社ではスケッチアップとVrayというレンダリングのプログラムを導入して、手描きスケッチでは表現することが難しい透明感、複雑な図形、リアリスティックなテクスチャーなどを表現することを実験的に進めています。人の心をより強く動かすのは綺麗すぎるほどの直線なのか、本物っぽく見えるツルンとしたイメージなのか、それとも線の太さが均一でなかったり、濃淡が均一でなかったりする線なのか、雑だけど雰囲気が柔らかく伝わるスケッチ図なのか。今後、少しずつ実験をしながら、プレゼンの表現領域を増やしていこうと考えています。

家具と建築とライフスタイル 

昨日はホームパーティに招かれました。私はホームパーティが好きです。時間を気にせず、周りのテーブル客を気にせず、どっぷりと会話を楽しめるから。そしてこのようなホームパーティの要にあるのはテーブルと言っても過言ではありません。昨日伺ったお洒落な家にも足場板で作った素敵なテーブルがありました。足場板を5枚つなげているため幅は1m程あったと思います。長さは2m程。この大きなテーブルがリビングルームの中心を占めます。テレビ台とかありません。私の設計ではないのですが、このテーブルありきの設計であったことは一目瞭然です。住む人の生活のプライオリティを感じます。

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また、テーブルと言って思いつくのは私の前職のボス、手塚貴晴・由比さんの自邸のテーブル。4mのテーブルは手塚ご夫妻の設計です。長いですね!食事も、仕事も、打ち合わせも、パーティも、工作も、宿題も、遊びも(←子供達)そのテーブルを囲んでします。グランドピアノも、ソファもありますが、そのテーブルが断トツ一位で生活の中心にあるような気がします。いつでも家族の集まるテーブル。家族との絆を大切にする手塚さん、由比さんの家族哲学がそのテーブル設計に込められているといつも感じていました。

他にもテーブルと言って思いつくのが前々職、Olson Kundig ArchitectのTom Kundigさんが設計したテーブル。芸術家さんのアトリエの設計で倉庫のリノベプロジェクトでしたが家具設計にも一貫した言語を使い、かなり洗練された空間になっています。大きな車輪が印象的なテーブル。これは6mはあったのではないでしょうか。自宅ではないため、sit downのパーティ用ではなく、カクテルパーティを意識していると思います。写真はお借りできないのでスケッチしてみました。

建築家に設計を頼む時、どんなライフスタイルを目指しているか。どんなライフスタイルに憧れるか。何をしている時に幸せを感じるか。自分にとって中で何が大切であるかを是非建築家に語ってください!建築家はそこからヒントを得て、大きなテーブルを想定した設計を提案するかもしれないし、掘りごたつのあるリビングを提案するかもしれない。テーブルではなくて、巨大な本棚かもしれない。長いソファーかもしれない。大きなワードローブかもしれない。いずれにせよ、既存家具、作り付け家具、新規家具を含めた設計も建築設計の一環として扱うことでより一貫性のある建築設計となり、ライフスタイルがより充実したものになることは間違いないと思います!